小林税理士事務所 Kobayashi Tax & Accounting Office
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2020/6/2
緊急事態宣言の解除に伴い,各地方自治体からの営業自粛要請等が徐々に緩和されてはいるものの,業種によっては未だ営業再開に踏み切れない事業者も多いと思います。
営業自粛等により,従業員らを休業させる事業者も多く、雇用調整助成金については、その上限が15,000円に引き上げられることが、現在第2次補正予算において審議されております。
その休業させた従業員に対しては、「休業手当(労働基準法26条)」を支給する場合も多いかと思いますが、休業手当については、給与所得に該当するため,源泉徴収の対象となります。
これまでの実務で,休業手当を支払う場面に直面するケースが少なかったことや,一般報道等で,非課税となる「休業 補償 」と混同して表現されるケースもあったことなどから,その取扱いについて度々問題となっておりました。
■ 労働基準法および税務上の取り扱い
・休業手当(労働基準法26条)⇒給与所得
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に、その休業期間中に平均賃金の60%以上を支払い
・休業補償(労働基準法76条)⇒非課税
労働者(従業員等)が業務上負傷等し、療養を理由に労働できない場合に、その療養期間中に平均賃金の60%を支払い
各地方自治体からの要請等に応じて営業を自粛等し,従業員らを休業させる場合が,「休業手当」の支払義務が生じる“使用者の責に帰すべき事由”に該当するかどうかは疑問が生じます。
この点、厚生労働省では,“使用者の責に帰すべき事由”に該当するか否かの考え方を示しており、また、下記の「休業手当」の支払義務が生じない“不可抗力により休業”する場合が示されているものの、現時点においては、各事業者が個別の諸事情を勘案して判断する必要があるようです。
■ 不可抗力により休業”する場合
・その原因が事業の外部より発生した事故であること
〈例〉
今回の新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく対応が取られる中で,営業を自粛するよう協力依頼や要請などを受けた場合のように,事業の外部において発生した,事業運営を困難にする要因である。
・事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であること(使用者として休業を回避するための具体的努力を最大限尽くしているといえる必要がある)
〈例〉
(1) 自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において,これを十分に検討した上で休業させている。
(2) 労働者に他に就かせることができる業務があるかを検討した上で休業させている。