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家賃支援給付金 社宅の取り扱いについて

2020/8/3

家賃支援給付金の申請が開始されていますが、その申請の対象範囲や申請方法があいまいな部分も存在します。

特に社宅の取り扱いについては、意見の分かれるところであり、家賃支援給付金のコールセンターに問い合わせても回答が統一されていないとの話も聞きます。

税理士会の研修などを参考にすると、社宅の取り扱いはおおむね下記の通りになるものと推測されます。

ただし、経産省が公表している取り扱いではなく、実際には個々の契約や実態に応じて判断されると思われますのでご注意ください。

 

疑問点

社宅や寮を事業者が借り、それを従業員や役員に貸し付ける、いわゆる借り上げ社宅・寮は対象となるか

取り扱い

法人が社宅・寮に用いる物件を賃貸借契約等に基づいて借り上げて従業員・役員を住まわせ、その物件の賃料をその法人の確定申告等で地代・家賃として計上しているのであれば、原則として給付対象となると考えられます。

一方で、従業員や役員から近隣の相場と変わらない対価を徴収している場合など、更に賃貸借契約に基づき転貸していると評価される場合は、給付対象にはならないと考えられます。

 

【転貸と社宅に関する基本的な考え方】

過去の最高裁の判例で、従業員専用の寮の使用関係が賃貸借か否かの判断について、「従業員専用の寮の使用関係において、世間並みの家賃相当額を使用料として支払っている等、原審認定のような事実があるときは、その使用関係を賃貸借と判断して妨げない」とするものがあり、この考え方が参考になるものと思われます。

したがって、例えば給与所得課税の関係から賃料の 1/2 を本人負担としているような場合は「近隣相場や世間並み」の賃料とは考えられず、「賃貸借契約に基づき転貸していると評価」することはできないため、給付金計算の対象となるということになります。

原則として、事業者が支払う家賃と同程度の賃料を社員から支払いを受けているような場合以外は、給付金額の計算の対象となるものと考えることが相当であると思われます。

実務上、従業員や役員に社宅を使用させる場合、通常の賃料よりも低い価額(かつ税務上問題とならない金額)で賃料を徴収することが一般的と考えられます。

その場合は、家賃支援給付金の対象となる可能性もあると考えられますので、申請対象とすることもご検討されてはどうかと思われます。